深層心理学とは

概要
深層心理学とは“自分や世界は多層構造であると考え、その深い層を解釈し理解していく”学問です。

私たちは自分の意識や自分が存在している世界を、何らかの知識をもって解釈し理解していると考えています。ほとんどの場合、人間が科学によって解明してきた客観的理論で考えられた解釈方法で理解しています。それを私たちは「現実」とみなしています。この現実というのは、現実レベルの意識(表層意識)で、現実の表面(浅い面)のみを見ている場合においての現実です。言い換えれば、日常生活レベルでの現実です。

しかし、その考えでは人の心の深層や世の中の深い層を理解していくことはできません。深い意識レベルでの解釈が必要になってきます。そこで深層心理学という学問が大事になってきます。

というのも、心は意識の“深い”ところで、本人の意思とは別の「働き」や「動き」をしているからです。その「働き」や「動き」を理解しないで早急に悩みを解決しようとすると、“深み”に応じた理解や対応が合っていないので「色々やっているのにうまくいかない」、「どうしてこうなるのか理解できない」ことになります。ですから、心の動きや働きを知ることが大事なのです。

常識や科学法則では解釈できないことや、どう考えればいいのか分からない出来事について、あるいは自身に起こった不思議な体験や、他人には理解してもらえない感覚を理解し納得していく学問が深層心理学です。


お遊びの深層心理

概要
深層心理というと世間では、「あなたの気持ちの奥にはこういう欲望が隠れています」とか、「この仕草にはこういう深層心理があります」といったことが言われます。こうしたものは深層心理学をお遊びにしたものです。深層心理は多層構造なのですが、それを表と裏(奥)といった2層にして娯楽にしたものです。
楽しむぶんにはいいですが心理学ではありませんので、専門家はこういうことをやりません。


深層の世界を知るために

技法
深層心理を知るために用いられる知識や技法がフロイトの「精神分析」やユングの「分析心理」などです。人生論や道徳訓、教育学、医学などはわかりやすい学問ですが、そうした頭(理屈)で理解する学問では「心の深い部分」や「人間の深い層」を知ることはできないため、深層部分に入っていくことのできる学問が必要なのです。