心理カウンセリングとは

概要
心理カウンセリングとはクライエントの悩みを深く聴くための技法です。クライエントが「何を話したいのか、どうしたいのか」を、話されている言葉や行動だけにとらわれず、心の内に耳を傾け、真意をじっくり聴いていき、複雑に絡まった感情や思考を徐々に紐解いていくものです。それによってクライエントが悩みの本質を理解し、悩みに対する意味づけが変わり、自身のなかで納得できる状態になり、自身のあるべき姿を受け入れられるようになっていきます。

自分自身との対話
カウンセリングの本質は「自分自身と対話できるようにする」ことです。自分を語ることで気づけなかった自分を知り、心の声・身体の声を聴くことができるようになることで、これからどうすれば良いかがわかるようになります。自分を知ることでご自身が変わるための基盤ができるのです。つまり、気持ちをカウンセラーに語っているようで実は自分自身に語っている、それがカウンセリングです。


カウンセリングが要る理由

概要
世の中には「解決するための対処法」がたくさん存在します。しかし、そうした方法ではどうしようもない悩みもあります。困っている人は「こうすれば良いと言われても、それができないから困っている」と感じています。つまり、正しいことや良いことを提案されて、それが実行できるなら最初から困っていません。また、日常的な道徳的判断ではどうしようもないこともあります。そのどうしようもない状態から始まるのがカウンセリングであります。


手法

聴くこと
心理カウンセリングはクライエントの話を「お聴きする」ことが主になります。具体的な解決策を教えるのではなく、「聴く」ことをします。といいますのも、クライエントがお話をして私がお聴きしている間に、本人が悩んでいる意味や原因などがわかってくる、悩みに対する意識や認識が変わってくる手法だからです。ですのでアドバイスがあまりいらないのです。
もちろん、まったくアドバイスをしないわけではなくアドバイスはします。ヒントになること、お知りになりたいことはお教えします。ただ、悩みや問題が深ければ深いほどアドバイスは通用しなくなりますので、「聴く」手法をとることになります。
身近なことに当てはめてみますとわかりやすいと思います。一般の人が相手の悩みを聴くと大抵「こうしたらいいんじゃない?」とか「そんなことを考えてもしょうがない」と言ったりします。あるいは「あなたのためのを思って相手はそう言ったのよ」と言ったりします。聴くよりも言う方が楽だからです。アドバイスすることで相手の悩みを自分が抱えずに突っぱねることができるからです。 また、相手に「こうした方がいい」と言うのは自分の方の気持ちがすっきりするからです。それを言わずに相手の話を聴いて、相手が自ら変わってくれるまで耐えて待つ方がはるかにつらく大変です。「聴く」ことは相手の悩みを引き受け、私も同じ悩みを抱えることになるわけですから。
そもそも、クライエントは色々な解決策をすでに試してきているものです。そしてうまくいかなかった体験をしてきています。つまり、他人が思いつくようなことはすでに実行済であり、現実に「どうしようもなくなっているから相談に来ている」わけです。


効果

意識や記憶の変化
心理カウンセリングの効果として大きなものの一つは、意識や記憶が変化するということです。記憶は口に出してカウンセラーに語ると、語った時の体験が元ある記憶(感情や気持ち)に上塗りされます。言い換えれば、自分の話を聴いてもらえた、わかってもらえたという感情が過去の記憶を変化させ、これまで抱えてきた記憶が変わりはじめます。