精神分析とは

概要
精神分析とは、心の動きや働きを理解していく学問です。私たちの心に無意識があると考え、こころの動きを言語的に取り扱い、治療に結びつけていく技法・学問です。自分では認知できない(気づけない)自分の衝動や感情を知ることが『精神分析』です。

人は様々な気持ちや感情や考えをもっていますが、生きていくのに不都合な気持ちや感情や考えを無意識という領域に抑えこんでしまうことがあります。そうすると、自分がそういう気持ちや感情であったことを認識できなくなります。そうすることによって当面は苦悩や苦痛を感じなくて済みます。

一方、無意識の領域に抑え込まれた自分の気持ちや感情は何とかして意識に出てこようとします。つまり、自分自身に気づかせようとするのです。しかし、そう簡単には出てこれないので、何かを通して表現しようとします。

それで、自分でもよくわからない「発言、行動、意識、精神状態、症状」などが生じます。もちろんそれは自己防衛機制だったり、自分の感情をなんとか処理するための心が作り出した代替行動・代替症状であったりするのですが本人にはわかりません。
それゆえ、「どうしてこうなるのか?」「どうしてこんなことをしてしまったのだろう?」「なぜ症状が出るのだろう?」というようなことになります。

その際に専門家と一緒にみていくと、それらが何を意味しているのか、別な言葉を使えば「身体言語・症状言語・行動言語・象徴言語」を通して自分自身に何を伝えたがっているのか、ということがわかってきます。
つまり、「自分に何が起こっているのかを理解していこう」、「心の中でどういうことが起こっているのかをみていこう」とするのが精神分析です。


対象関係論

対象関係とは
精神分析学のなかには「対象関係論」という学問があります。簡単にいうと、「心のなかにある人の像(イメージ)との関係」です。
人間関係の悩みや問題は、実在する人との間に生じるものだけではなくて、自身の心のなかに像(イメージ)として定着している人との間にも生じており、それが現実の人間関係に影響を及ぼしているという理論です。
たとえば、私の親はどうしようもない親だという心像をもっている場合、周りにいる人たちに対して、無関係なのに、自身の抱えている問題を解消するような対応や態度をとってしまったりします。


もっと理解を深めるために

探求する技法
精神分析はもともとヒステリーや神経症(ノイローゼ)を治療するために作り出された技法でした。無意識の中に症状を作り出している原因を見つけることで「治す」ことができたのです。それが後世に伝わるにつれて発展・拡充し、今では治療だけにとどまらず自分や相手との関係性を理解することまでできる技法になっています。


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