自己啓発(本・セミナー)嗜癖

概要
自己啓発(本・セミナー)嗜癖とは、「自分を啓発すること」「自分を変えること」に熱中しすぎており、そうした行為が一番すばらしいこと、人生を最大に充実させてくれるものであるという考えにのめり込んでいる状態をいいます。
「新しい見方や考えを知ること」や「気づくこと」に感激感動したり、みんなと共に毎日をワクワクしたものにするとか、キラキラしたものにするといった“感受性”を高めていく集団意識を組織的につくり上げている場合もみられます。近年では、コーチングもそのような集団に変わりつつあります。また、神秘の世界(スピリチュアル)に入り込み過ぎていて、現実の世界(社会)に適応できなくなっている場合もみられます。

問題
自己啓発をしていて「自分の人生が変わった」「自分の人間関係が良くなった」ということを非常に感じており、その昂揚感から他人にも「同じことをすればあなたも人生が変わる」と勧めてくることが問題の一つです。
相手にとっては興味のないことかもしれないし、迷惑かもしれないということを自覚できず、相手の考えや主体性を尊重できなかったりします。


心理から考える

欲求・欲望論
わたしたち人間は「自分の価値を高めたい」「もっとすごい人になりたい」という自己向上欲求をもっています。世の中にはその自己向上欲求を煽(あお)るものがたくさんあります。たとえばセミナーとか資格などです。セミナーを受けたり資格などを取ったりしますと、自分が高まったような気になったり、人よりも優れたような気になったりするものです。たとえば「人間関係がうまくいく」「成功する」「効率や生産性が向上する」といった類のものであり、その知識や技術を知っている私はすごいと勘違いしやすいわけです。そのため、それに乗っかってしまい、自分を向上させることにあまりに熱が入り、周りのことが見えなくなってしまい、周りの人や状況がどうなっているかも気づかずに、自分を立派に仕上げることばかりに意識がいってしまいます。