退行

概要
退行とは「子ども返り」とも呼ばれ、極度な甘えや依存心が起こったり、わがままや駄々をこねることが起こったり、あるいは融通がきかなくなったりなど、普段のときに比べて言動が幼(おさな)くなる状態のことです。誰かと一緒にいないと耐えられないということも起こります。そのため印象として未熟になったようにみえます。
また、甘えるだけではなく、相手に文句を言ったり悪態をついたり、人の欠点を指摘したり、またケンカ腰で突っかかっていく、さらには他人同士の仲を悪くさせることもあります。
人の言葉を被害的に受け取る、ひねくれる、卑屈になるなどして無意識に相手の怒りを引き出したりします。

神経症的傾向
退行においては、迷惑をかけても自分を許してくれる人を求め続けるといった神経症的傾向がみられます。たとえば、相手が優しくしてくれたり献身してくれているのに、それにも難癖をつけ、それでも自分のことを見捨てないかどうかを確認したりします。


全能感との関連

概要
退行で問題になってくる状態の一つは、退行している本人が全能感をもっている場合です。退行している本人が「私の悪態はあなたのためを思ってやってあげている」と考えている場合です。あなたに幸せになってもらいたいとか、あなたに変わってもらいたいという考えをもって悪態をついている場合があります。
心の奥では自分は取るに足りないものという意識がありながら、それを直視できず、外にも出せないために自分の考えを絶対視するようになり、相手のためという大義名分をつくりだし相手に強要したり押しつけたりします。