双極性U型

精神状態の説明
双極性U型はうつ病と軽躁の二つの状態を持ち合わせた症状で、不安定感がその基礎にあります。気力の起こらない状態がずっと続いていたと思ったら、急にやる気が起こって何かを成し遂げたりします。不機嫌やイライラ、焦燥感が突発的に起こり、本人でもその対応に困ることがあります。そして非常につらいのは「いろいろと(相手のことなどを)考えてしまうこと」です。

焦燥感
焦燥感が出てくると日々の生活をうまくこなそうと奮闘するわけですが、大抵うまくいかなくて、そうすると余計に焦りが出てきて自分に嫌気がさしてきます。「気ばかり焦って体がついていかない」という状態です。「周りに迷惑をかけてはいけない」という責任感や対人配慮からきていたりします。

性格との誤解
気分変調のため双極性U型の人はしばしば「わがまま」や「気分屋」といった性格の問題とされます。また、本人も自分の状態や症状は自分の性格のせいだと考えていることがほとんどです。


性格・性向・心性

変化志向
閉塞状況を強く嫌って避ける心性があります。
停滞を嫌い、つねに変化を志向し無理なことをします。強引に状況を打開しようとするのです。言い換えれば状況に風穴を開けようとする。平凡で単調な状況は耐えられないからです。そして事態や自分自身を損ねてしまいがちです。そして気分が落ち込んでしまう。 蛇足ですが、閉塞状況に耐えられないことは閉所恐怖症と通じるところがあります。
双極U型障害の人が波乱に富んだ人生になるのはこの傾向があるためです。色々な仕事をしたり、色々な人と恋愛をしたり、色々なことを始めたりします。自分のしたいこと、できることをどんどん広げ、現状に甘んじようとしない。だから楽しくもあり、一方で、忙しくなり過ぎて生活や人間関係がごちゃごちゃになったり、自分が何をしているんだかわからなくなったりします。

甘えべた・頼もしい
甘えべたであり、なかなか人に甘えられません。一方で人から頼られることが多く、色々な人から悩みをもちかけられます。また周りの人が困っていないか、争いが起きていないかいつも気にしていて、大抵その勘は当たっています。こうした特性は本人が生まれ育った家族との関係が反映されています。親に甘えるというよりはむしろ親が本人に甘えてきた、という状況があったということです。この関係は家族の外の人間関係でも再現されます。ただ、頼られることは本人の生きがいでもありますが大きな負担ともなります。無理をしてしまうのです。しかし、わかってはいても相手のためにどうしてもやってあげてしまうのです。これは自分が甘えることを断念し、相手に甘えさせることで代償してきたのでしょう。

おせっかい
甘えべたなので、それが反転して「おせっかい」の傾向が生まれます。相手に依存できないので、それを「相手を支配する」という形に変えて表現します。この特質はリーダーシップとして発揮され、肝っ玉がすわっていて頼りがいがあり、思いやりがあり面倒見がよい人として親しまれます。ただ、おせっかいが過ぎるために人と衝突したりすることがあります。

誇大自己
人を笑わせたり、人の気持ちを明るくできる能力を自分はもっていると考えていることが多い。

一人でいられる能力
「一人でいられる能力」が高い。一匹狼的な生き方をしてきた人がしばしばみられます。

勘の鋭さ
ものすごい勘の鋭さをもっていることが多く、相手が何を考えているのか大抵わかります。相手がどう考え、どう対応してくるか、先の先を見越して対応ができます。相手も自分と同じくらい読めるのではないかと思ってしまったりします。

その他
職人的こだわりをもっていたりします。


対人過敏性・対人配慮性

過敏性と配慮性
双極U型の人たちはものすごく人に気を遣います。非常に気をつかって人に合わせようとします。一般に健康に生きている人たちからは考えられないくらいに気を遣います。そして相手の期待に応えようとものすごく頑張ります。その頑張る質や量が尋常ではないのです。相手に喜んでもらいたいという気持ちがものすごく強いためですが、それ以上に、心が傷つきやすく、拒否されることに過敏だからです。めまぐるしく対人センサーを使い、自分がどう思われているかチェックし、「人に嫌われてはいないか」「人に嫌われやしないか」といったことなど、相手の気持ちを鋭く察知しています。それで無理をして相手に合わせてしんどくなってしまうわけです。
一方で、尽くしてもらっている側の人は、自分のことをとてもわかってくれて自分のために愛情をかけて色々とやってくれますから、ついつい甘えてしまい依存し、双極U型の人の気遣いを使いまくったり濫用したりして、それで双極U型の人をしんどくさせてしまいがちです。