解離性障害

概要
解離性障害とは「意識や記憶の分断」が起こっている状態です。人格を分断させ、記憶が人格ごとに分かれ、それに伴って行動などがバラバラになり、それぞれの人格が主人格の知らないところで意識化、行動化してしまうことです。

人格精神状態
  交代人格の出現、人格変換(スイッチ)
  幻声が聴こえる、霊など一般人には見えないものが見える
  離人感(自分ではないような感覚)

症状
  多くの人に疼痛症候群がみられます
  頭痛、腹痛、麻痺、痙攣(けいれん)
  失立失歩(足で立てなくなる、歩けなくなる)

行動化(衝動的行為)
  自傷行為、リストカット


分類

概要
解離性障害は以下の4つに分類されており、その中の一つに解離性同一性障害があります。
  解離性健忘
  解離性遁走
  解離性同一性障害(多重人格)
  離人症

解離性同一性障害
解離性同一性障害は、俗称「多重人格」と呼ばれています。
多重人格は、本人である「主人格」以外に別の人格である交代人格が出現する状態です。たとえば、迫害者人格、性的放縦人格、異性人格、救済者人格、子どもや幼児の人格などがあらわれます。また、人によっては、自閉的人格や身体障害のある人格などがみられます。


人格と精神の状態

概要
人格と精神の状態は、境界性人格と情緒不安定人格に重なる部分が多くみられますが、それが人格ごとに分断されているような状態です。
空虚感や見捨てられ恐怖があるために、誰かしらに心理的依存して生きています。しかしそれでも不安なので相手を試したり、何度も愛情を確認したりします。それゆえ、相手はメールや電話の対応に追われたり、直接会ってなだめなければならない状況に置かれます。また、本人は相手に対して浮気を疑ってかかったりするのですが、本人は寂しくなると別の異性にすぐ連絡を取ったりします。
そういうことが積み重なり、相手はその対応の難しさや気遣いでイライラすることが多くなり、本人に説教したり厳しいことを言ってしまったりします。結局、本人が恐れていた見捨てられ恐怖や叱られる恐怖を現実のものとして体験させてしまうことになります。
そして、説教を受けたり、対応しきれない状況下になると、幼児人格にスイッチされます。未熟な精神状態の人格です。神経症でいうところの「退行状態」に入り、本人は自分を守ろうと心理機制を働かせます。


情緒について
情緒はものすごく不安定で、目まぐるしく変化します。変化するといっても人格をスイッチさせることによっておこなっています。感度の高い指向性アンテナ、非常に鋭い感受性をもち、相手を瞬時に見抜くほどの過敏さをもっていますので、相手のちょっとした言動にも気づき反応してしまい情緒が乱れます。


取り巻く状況

相談状況
解離性同一性障害の本人から相談がくることはまずありません。ほとんどは彼氏(あるいは少ないですが彼女)が困って相談をしに来られます。彼氏が彼女をどうにかしてあげなければという気持ちでやって来られます。

対人関係
インターネットを使って同じような境遇の人たちと不安定な人間関係をつくることが多く、友人だか知り合いだかわからないような人たちが周りにたくさんいます。また、恋人のような人も沢山います。そして常に誰かに連絡をとっています。その中には危ない人や過激な人、思想が偏った人などがおり、そういう人たちに振り回されて悩まされていたりします。

親の状況
解離性同一性障害の子どもをもつ親は、その養育の大変さから、子どもを放置していたり、関与してしないことがよくみられます。


解離とは

解離の意味
「解離」は、つらかったり悲しかったりする体験から自分を守るための防衛機制の1つです。つらい体験をした自分の一部を「切り離す」ことによって自分を守ろうとする心の働きです。ですから、これ自体は病気ではありません。ただ、こうした防衛機制が過剰で慢性的になり、自分自身にとって障害となってくると「解離性障害」となります。