摂食障害
■精神状態の説明
摂食障害は目に見える症状としては、食べ物をほとんど食べないか、あるいは食べ過ぎる状態になっており、精神症状としては自分自身の身体像と食事に対する強迫症が生じており、痩せていないと自分を許せない、食事をとる自分を許せない、食事はカロリーが高いものは許せないとなっている状態をいいます。それゆえ、非常に痩せているにもかかわらず身体に余分な肉がついているとみなします。そして身体からの欲求(食欲)により食事をしてしまうと、食べてしまったことに対して自責感が起こるので嘔吐をします。その繰り返しが進むと「私は毎日何をやっているんだろう」とか、「私は人間として最低なんじゃないだろうか」という気持ちが出てきて、苦悩することになります。
■人格・精神状態
人格・精神状態としては自信がなく、責任感が強く人に甘えられない、頑固、意固地、わがまま、かたくなさ、未熟さがみられ、対人関係は不安定で、嫉妬やひがみ、不機嫌や攻撃性が突発的に出ます。自分自身に対しては無力感や無用者感を感じており、抑うつ症状を呈することがしばしばです。
生活面においては活動的すぎるところがあり、身体がガリガリなのにもかかわらず、動き回ったり頑張りしすぎるところがあります。
■病理水準
病理水準としては神経症水準にあたります。
理知的で強迫的で完全主義的な傾向がみられます。
メカニズム
■症状形成の要因
摂食障害患者のほとんどは女性であり、愛情飢餓や苦しさの継続的な体験、そして葛藤を解決しようと“頑張る力”や、気持ちを抑圧してきたことが症状をつくりだしています。頑固さやかたくなさは自分を守る防衛心理が働いているためです。また、うまく自分を表現したり立ち回ったりすることが難しいために怒りが湧いてきて攻撃性が出てしまい情緒が安定しません。
表面的に見える問題は「拒食」か「大食」かという問題なのですが、それを引き起こしている隠れた問題は非常に根が深く大きなものが別にあり、それが食事を摂(と)るという問題にあらわれています。
飢餓感覚
■精神分析
摂食障害を患っている人は飢餓感覚を非常にもっています。たとえば愛情や自信などです。その飢餓感を身体で表現しているのが拒食状態、つまりガリガリにやせ細っている自分の状態であり、それを何とかして満たそうとして必死の努力をしている姿(状態)が過食状態です。