強迫神経症

概要
強迫神経症(強迫観念/強迫行為)とは、些細なことやどうでもいいことを完璧に仕上げないと不安が拭い去れない精神状態になっているものです。そのため、何度も何度も同じ行為を繰り返さざるをえなかったり、何度も何度も確認せざるをえないものです。その反復行為は自分でもコントロールできず、「完璧にやり遂げるまで自分を許さない」、「最後まで終わらせないと次に進めない」といった観念に頭の中が支配されているのです。
頭の中でもいろいろな思考が渦巻いており、ものすごく色々と考えてしまうために生きていることが苦しくなります。

症状と傾向
強迫神経症では以下のような症状および傾向がみられます。
<精神症状>
確認反復 洗浄反復 手順反復 理解強迫 自殺念慮 抑うつ 不潔恐怖
過剰なダイエット(摂食障害)

<身体症状>
過敏性腸症候群 神経性胃炎 潰瘍 腹痛 頻尿 頭痛 気管支喘息

<性質・性格傾向>
几帳面 完璧思考 白黒思考
不機嫌 イライラ 激越 攻撃的
意固地 こだわり しつこさ 疑い深さ 疑心暗鬼 理屈詰め 焦燥感


家庭内での状態

人格状態
強迫神経症では家庭内において以下のような状態がみられることがあります。
親に対して執拗に責めたり暴力をふるったり、あるいは親に対してこんこんと説教したり、問い詰めたりして寝かせなかったりします。また家の壁を殴って穴をあけたり、怒鳴ったりします。一方で、本人は自分の病気を治そうという意識と強い意志があり、病気の勉強をしたり、治療を受けたりするのですが、親に対する衝動的言動は止められないという状態がみられます。


メカニズム

症状形成の要因
症状が形成される要因としては様々な要因がありますが、大きなものとして以下の2つを挙げます。もし解離を起こすことができれば症状は出てこないのですが、それを許さない厳格な自己規律力(超自我)があるために、強迫神経症として症状を出しています。

<防衛としての症状>
本来、つらいとか怖いといった感情を軽減させるために心理的防衛は働くのですが、それが過剰に働き、症状として現れている場合がほとんどです。行動を完璧にしたり何度も確認したりするのは、もしそうしないと「何か大変なことが起こるんじゃないか」「何か怖いことが生じるんじゃないか」という極度の不安や恐怖が生じるためです。そのため、自分がひどい目に遭わないようしようと心理的防衛が過剰に働き、それが行為の反復となって表れています。

<理解できないことに対する症状>
症状が持続する要因として、何らかのつらい出来事が起こった当時、それをまだ理解できない年齢であったということがあります。そのため、何とかして理解しようとしてもどうしても理解できずに、咀嚼(そしゃく)できない(呑み込めない)ものが心の中で詰まっていて、それで症状が継続されていることもあります。