対人恐怖症・視線恐怖

精神状態の説明
対人恐怖症とは理由もなく他人や知り合いに不安や恐怖を感じる状態をいいます。そして他人や知人から自分の悪口を言われているのではないか、危害を加えられるのではないかと被害妄想に陥ることがしばしばおこります。また、自分が不安になったり緊張していることを他人に悟られるのではないかという不安がさらに追い打ちをかけることによって身動きがとれなくなってしまうものです。また、人の中に入っていくと、どういうふうに息をしていいかすら分からなくなります。

視線恐怖
対人恐怖症の多くは視線恐怖症を伴います。他人から見られている気がする、人の目を見れない、自分の視線をどこに向けていいかわからないということですごく苦しみます。一方でそれとは逆に、「自分が相手に対して脅威を与える不安」を感じてしまう場合もあります。これが視線加害恐怖です。自分の目つきがキツイので相手に嫌な思いをさせてしまっているのではないか、自分が相手を見ていることで相手に不快感を与えているのではないかというものです。

加害恐怖
人によっては加害恐怖が起こる場合があります。加害恐怖とは、相手を負傷させてしまうのではないか、殴ってしまうのではないかといった不安、自分の臭いで相手に不快な思いをさせているのではないかという不安が起こることです。


心身の疲弊

概要
対人恐怖症の状態であると非常に神経を使うことが増えます。相手の行動を読んだり、発言の意味を勘ぐったり、相手が次にどうするかをすぐに考えますのですごく神経が疲れます。そしてさらにその相手の言動を考えたうえで自分の言動や動作を決めるので、たとえば自分の目線をどこにやったらいいかを考えてしまうので非常に神経が疲れます。そのため、美容院や床屋、歯医者など「人と接する場所」に行くのが苦痛になります。


メカニズム

症状形成の要因
恐怖を感じる原因は各人にそれぞれありますので特定なものはありません。ただ、対人恐怖症を発症している本人にはその原因が何かということは気づけません。原因に気づけないからこそ症状として表出しているのです。


恐怖症一覧

症状の多様性
恐怖症のつらいところは症状が多岐にわたって出現するところです。症状はいろいろな形で出てきます。以下がその一覧です。

対人恐怖(他人の会話が悪口に聞こえる)
視線恐怖(他人から見られている気がする)(他人と道ですれ違う時に視線のやり場に困る)(自分の視線が相手に嫌な印象を与えている)
広場恐怖(人が多く集まる場所へ出かけられない)(パニック発作を伴うものを含む)
会食恐怖 ふれ合い恐怖 雑談恐怖
閉所恐怖(エレベーター恐怖)
乗り物恐怖 電車恐怖(電車に乗ることが怖い)
唾(つば)恐怖
赤面恐怖
自己臭恐怖・視線恐怖・醜形恐怖
不潔恐怖
異性恐怖(女性恐怖 男性恐怖)
尖端恐怖(ハサミなどの先端が尖ったものに対する恐怖)
発狂恐怖
関係念慮(他人が話している会話が自分への悪口に聞こえる)
被害念慮(偶然の出来事なのにもかかわらず、自分が被害を被ったと思ってしまう)